黒澤うに

ひろゆきとTVで対談した話

2021年12月10日
ABEMA TVの「親を捨てるのは悪いこと?超高齢時代の親子観」という番組にゲストとして出演しました。

YouTubeより(収録後、再編集されたもの)

放送日数日前に出演を承諾した時には、
ガッツリ意見聞かれるとも
そしてまさか
あの「ひろゆき」さんと対談するとも
知るよしもありませんでした。

なぜ出演するに至ったかなど、備忘録的に所感を書き留めます。

出演の経緯

まさか初のテレビでの対話が、「論破」で有名なひろゆきさん相手とは。知っていたとしたら、依頼を受けていたかしら。もっと考えてしまっていたかも知れません。

今回の出演のきっかけは、両親の介護で行き詰まった時にサポートをお願いしている、高齢者の生活全般に関わる支援事業を行なっている「一般社団法人LMN」でした。番組スタジオにも登場していた代表の遠藤さんと昨年知り合う機会があり、けれど契約費用も安くはないので迷い、2021年4月にいよいよ両親の間での喧嘩が絶えず在宅介護に限界が近づいた時に相談→契約。以来、必要に応じてサポートをお願いしてきました。

12月3日
相談のために事務所に行く約束をしていたのですが、「テレビ番組の取材を受けており、その日は撮影班が事務所に来ているのだが、相談の様子を撮影をしても良いか。また軽く話を聞きたいと話している。顔出しをする必要はないとのこと」と連絡があり、私はそれを了承。当日、LMNの顧客として介護の辛い点、利用している介護保険のサービスなど実に色々な話を徒然なるままに30分程度しました。LMNのスタッフの方には、本当に今春を一緒に乗り越えてもらったこともあり、その時のこと、思いが蘇るようで涙も出てしまいました。

そんな顔出しなしのインタビューだけで終わりの予定でしたが、それから3日経ってからディレクターより連絡があり「放送にも出演してほしい」との連絡がありました。しかし、その日は予定があり、出演時刻も遅かったので一度はお断りをしました。しかし、「特に準備も何もなく、きて少しお話をしていただくだけです」とおっしゃいますし、聞いていた「親を捨てる」というフレーズは私には苦い思いのある言葉です。「では、先約もあり、当日はかなり疲れた感じで参りますが」とお受けしました

…ら、なんということでしょう。

放送2日前に送られてきた詳細を見て驚きですよ。

MC ひろゆき

テレビ持ってない私ですら知ってる人間がいる!
というか、あめぞう時代くらいの知識だけど、最近なんか子ども達が「論破論破」道端で言ってる。怖い!

いや、普段は企画書もらってから考えるんですけど、ここ最近、ちょっと疲れてたんですよね。でも、面白かったから結果オーライってことで。

そんなきっかけで、出演することになりました。

出演した感想

一言で言うと、「いつもと違う意見というのは面白い」ということでした。

2日前に送られてきた大体の流れとは異なり、素直にひろゆきさんが聞いてくれた意見や疑問は新鮮なものでした。行政や、介護のサービスの人たちの中にとって「黒澤うに=介護の責任者」でしかなく、「本当に大変ですね。でも、やらなきゃいけないことですからね」と私に責任を問う話にしかならず、知り合いたちと介護について話す場合は「辛いんだね。システムはうまく使えてる?使ってるのにダメなら、どこに責任がある?」と、責任の所在がどこかを問う話になってしまったりするのが大概でした。そして送られてきた想定された質問も、そのようなものだったのです。

しかし、ひろゆきさんは変に慮ることはせず、「別に無理ですって言って連絡取れない形にしちゃったらいいんじゃないですかね」とバッサリ。うん、状況だけ見るとそうだよね。そう思いますよね。うん、聞いてくれてありがとう。実際にはそうはうまくいかない経験があるから、否定はしましたが、それは自己を守るための否定ではなく、私の中では議論としての否定でした。そんな風に簡単にいかないのって変だよね。

特に冒頭VTRを見終えた後のひろゆきさんが「思い込み強い人が自分で自分の首を絞めているようにしか見えないんで、大変だなーって思ってみてました」と言う発言は、非常にドラスティックな客観視であり、私にとっては面白かったです。なるほど「思い込み」というのは一理ある(というか、それが全てであったりする)。

「うにさんの生活ができる範囲で誰かを手助けするのは、特にうにさんが傷つくことがないと思うんですけど。うにさんの生活を削ってしまってまで誰かを手助けするっていうのをやっちゃったしまったせいで、疲れてやんなって『早く死ねばいいのに』って思っちゃうわけじゃないですか。そういうのを思うのは生活を崩しちゃったのがいけないと思うんですよね。生活を崩さないで、そこだけは絶対に崩さないという形でやっていかなくちゃいけないですよね」

これ、本当にそうだと思います。

ひろゆきさん、怖えって思っていたけれど、おざなりの憐憫もない人のアドバイスって心に響くなぁと感じました。

刺激的で、あっという間に時間が流れ、ただ話していたら終わってしまってしまいました。思ったことを話していたら、二元論の話とか中途半端で発言をしたところでおしまいになってしまい、メディアに出ておきながらメディア批判的な感じになってしまい、ちょっと申し訳ない。

それと、欲を言えば、ところどころで総括し、深い見識からアドバイスを加えて議論を進めてくださった安倍敏樹さんのお話をもう少し聞けたら嬉しかったな。安倍さんは、私の前のゲストについてひろゆきさんが結構ビシバシ言っている時にも、優しく入っていって「なにかあったら助けてください」と心の中で願ったものでした(笑)。

私はテレビ局の中にいれども、控え室からのZOOMだったので、1人でポツンと座してひろゆきさんと前のゲストさんの問答を聞きながら震えてました。安倍さんに癒された…。

顔出しの理由

なんでインタビューでは顔出しなしで、スタジオでは顔出しありなのか、についてです…

なしの理由
「顔出ししなくていい」と言われたので。

ありの理由
実は前にもNHKのドキュメンタリーに出ていて、自分の意見を言う時には恥の多い内容をツイートしているので恥ずかしいけれど、できる限り顔出しでありたいと考えているから。

です。

私自身は、もともとプライベートでも被写体になるのが苦手な人間でした。だからオプションを与えられるのであれば「なし」が好ましいです。しかし、自分の声、意見を出すときに、その意見を聞いてもらいたいと望む際には、できる限り「この人間は実在する」と感じてもらえればなと思います。

介護の関係者に出演を伝えてみた

今回のテレビ出演については本当の親しい介護仲間数人と親友にしか話さないつもりでした。

しかし、放映前日に、不可抗力で1人の介護スタッフにもこの番組に出演することを伝えました。母のもとにやってきた訪問診療の先生です。

診療日に同席をするように言われ同席したのですが、「来月も同席してください」と言われ「来年からは仕事をしていく予定なので、同席はできません。何か特別なことがあれば別ですが、来年からは無理です」と私は断りました。しかし「すぐにお仕事を始めるんですか」「1日でもダメなのですか」と諦めません。

実際に何か仕事があるわけでもないのです。本当は行けるのです。でも、そうやって「いつもいる」と思われるからこそ、呼び出しも容易にされるのではないかと気づいているし、実際に責任から一つでも逃れるために争ってもきているのでした。

「私は6年間、介護のために親を優先してきました。自分の人生をおざなりにしてしまいました。でも子供もいるため、仕事をしなくてはいけません。来れません。」と私が言っても、先生はなお「入社は4月からではないのですか」とおっしゃるので、「介護のことについて、明日AmebaTVに出るので、よろしければご覧ください。私の気持ちなどをもしかしたら話すことになるかもしれません」とお伝えしました。「あ、見ます」とおっしゃっていましたが、ご覧になっていただけたかしら。

図らずも、私ではなく、煩わしさをひろゆきさんがぶった切ってくださりました。

ひろゆきさんが思うこと、私も思うんですけど、少し、介護家族の負担を減らさせてもらえないでしょうか。

先生はもちろん、みなさんに悪気がないことはわかるんです。介護保険を使っているとはいえ、全ての業者が連携しているわけではなく、その全てから問い合わせが来るんです。問い合わせだけならいいんですけど、「お母様が激昂されていて、ドアを閉めてしまいました」「お母様がどこにいるかわからないです」と実際にそこに駆けつけてドアを開けたり、所在を探さなくてはならないものだったり…

ひろゆきさん、力を。

次回先生から連絡取るのがちょっと怖いけれど、私、もう少し、ひろゆきチックになれるようにしたいと思います。